火焔の蝦夷 阿弖流為と鬼剣舞

竜飛の黒神 男鹿の赤神

(たっぴのくろかみ おがのあかがみ)

<<2019年8月の作品>>

「日本通運ねぶた実行委員会」にて出陣

 昔々、青森県の竜飛というところに黒神という神様が住んでいました。また、秋田県の男鹿半島というところに赤神という神様も住んでいました。  黒神は筋骨隆々としてその風貌も荒々しかったが、一方、赤神は笛の名手であり、性格も心優しかった。二人の神様は十和田湖というところのほとりに住むとても美しい女神を自分の妻にしようと争います。  黒神は竜を飛ばし赤神に襲いかかります。赤神は、数知れぬ鹿を繰り出し野山を埋めて黒神を迎えます。竜は口から火を吹いて鹿を追い払い、鹿は鋭い角で竜に立ち向かいます。どちらの神も決してあきらめず、なかなか決着がつきません。その時、この戦いをひと目見ようと各地から八百万(やおろず)の神々が、津軽の岩木山に集まりました。  頂上を挟んで黒神派は右側、赤神派は左側へと陣取ったとき、黒神を支持する方が多かったために、その重みで岩木山の右肩が低くなったと言われています。  やがて、黒神が勝利し、赤神は傷つき、その血で大地を染めて紅葉に変えながら、男鹿へ逃げ帰って行きました。ところが女神は負けた赤神に同情し、赤神を追って行ってしまいました。戦いには勝ったものの女神を失った黒神は、悲しみのあまりため息をつきました。その大きなため息によって地が裂け、津軽海峡ができたと言われています。
 
縄文
<<2019年8月の作品>>

送り(恵比寿 大国様)

 岩木山に集結した八百万(やおろず)の神様のうち、新元号への慶事として縁起の良い恵比寿様(事代主(ことしろぬし))・大国様(大国主命(おおくにぬしのみこと))を配置しました。
 
火焔の蝦夷 阿弖流為と鬼剣舞

火焔の蝦夷 阿弖流為と鬼剣舞

(かえんのえみし あてるいとおにけんばい)

<<2018年8月の作品>>

「日本通運(株)青森支店ねぶた実行委員会」にて出陣

 東北の歴史とは中央政府からの理不尽な侵略と敗北の歴史である。その歴史において、東北まほろばの地を守ろうとした英雄たちがいる。名を馳(は)せるところでは、源義経(み>なもとのよしつね)であり、安倍貞任(あべのさだとう)であり、阿弖流為(あてるい)であ>る。彼らは和の心を持って戦ってきたが、国史の名の下に敗者となり、非業(ひごう)の最期を遂げた者たちである。  鬼剣舞(おにけんばい)という民俗芸能が、今も岩手県北上市周辺に伝わっている。刀を振りかざし、五色の忿怒(ふんど)の形相の鬼面をつけ、勇壮に舞い踊る。その鬼面には鬼ながら角はなく、仏教の五大明王(ごだいみょうおう)を表している。この踊りは、蝦夷(>えみし)の地と呼ばれた東北の地で御霊となって亡くなった人々の鎮魂の儀式とも言われ>ている。つまり、鬼剣舞の鬼とは仏であり、そう先の源義経であり、安倍貞任であり、阿弖流為である。彼らは、強力な中央政府に対して、まさしく「鬼」となって戦い、東北みちのくの地で散っていったのである。  このねぶたは、今でも心の中に生き続ける英雄たちの鬼面をかざす阿弖流為の勇姿に東北蝦夷のみなぎる魂を表現したものである。
 
縄文
<<2018年8月の作品>>

送り(縄文)

 蝦夷の文化は縄文時代から継承されており、蝦夷のルーツは縄文にあります。  ねぶたの送りは、縄文土偶、桜、蝶々を配置し、縄文時代の平和でのどかな風景を表現しています。  また、昨今、北海道・北東北の縄文遺跡群の世界遺産登録に向けた活動が盛り上がっており縄文文化をねぶたを通して少しでも応援できる形となれば幸いです。  なお、縄文土偶の中でも真ん中に配置しております「遮光器土偶」は阿弖流為が信仰していたアラハバキの神であり、送りのメインとして配置しております。
 
斉天大聖孫悟空

斉天大聖孫悟空

(せいてんたいせいそんごくう)

<<2017年8月の作品>>

「日本通運(株)青森支店ねぶた実行委員会」にて出陣

  孫悟空は中国の古典小説「西遊記」の主人公である。 生きとし生ける物の生死に悲観し、不老不死を願い仙術を身につけて行く孫悟空は自らを斉天大聖と号し天界で大暴れするが、乱暴が過ぎて、お釈迦様に五行山の岩の下に閉じ込められてしまう。  それから五百年後。天竺にありがたいお経を取りに行く旅の途中の三蔵法師に助けられ、孫悟空は三蔵の弟子となり、取経の旅のお供をすることとなる。 途中、豚の化物 猪八戒や河童の沙悟浄らを供に加え、一行は遥か遠く天竺を目指すが、旅の先には様々な困難や恐ろしい妖怪たちが立ちはだかる。 一行はそれらを次々に乗り越え、やっと無事天竺に辿りつくのである。  ねぶたはその旅の途中、返事をすると吸い込まれてしまう不思議なひょうたんを持つ妖怪金角・銀角大王と孫悟空が格闘する一場面である。
 
斉天大聖孫悟空
<<2017年8月の作品>>

送り(お釈迦様)

 孫悟空がお釈迦様の指に字を書いた逸話から。
 
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