制作過程

このページではねぶたの制作過程をご紹介します。

■構想立案
1)題材選び
ねぶたとなる題材を選び、資料の下調べから時代考証(衣装、家紋等)を踏まえ、構図を練ります。 この時点で、だいたいの衣装の色なども想定しておきます。

2)下絵作成
・鉛筆書き・・・模造紙よりも少し固めの紙(ケント紙?)に鉛筆で描きます。何度も何度も輪郭、模様などを描いては 消しゴムで消したりしながら、バランスを考えながら描きます。デッサン力が非常に問われます。
模造紙よりも厚手の紙に描くのは、消しゴムで消した線がきれいに消えるからです。
紙の大きさとしてはねぶた本体(横7m、高さ3m)が横長なので、それに併せて横長に描きます。

・転写・・・・・鉛筆描きができたら、それを今度はワトソンという水彩用の紙に写します。
鉛筆描きした紙の上にワトソン紙を乗せ、ガラステーブルなどを使って下から 光(電気)を当てて、鉛筆でワトソン紙に写し取ります。

・水張り・・・・次に、鉛筆で写しとったワトソン紙に刷毛などで十分に水を塗り、ベニヤ板に載せ、ミューズテーブ などで四辺を固定します。これを半日~1日放置しておきます。 水が乾くと紙の皺が取れ、彩色してもにかむ(しわになる)ことがなくなり彩色作業がしやすく、 また仕上がりが綺麗になります。

・彩色・・・・・日本画絵具やポスターカラーを使って、彩色します。薄く塗るところ、濃く塗るところなどあります。 肌の部分などは、薄い色で同じ色を何度も重ね塗りしたりします(乾いてから)。 最初は薄い色から濃い色へ順番に塗っていきます。(最後は黒色) 日本画用の絵具は、一から作るのは手間がかかるため、予め出来てあるチューブ絵具「吉祥」を使っています。 日本画用の絵具を使うことに関しては色が褪めない利点があります。

・表装・・・・・ミューズテーブをカッターで切り離し、額装して完成です。

・解説・・・・・下絵及び完成したねぶたを説明するため用の解説を自分なりの文章表現で書いておきます。

■制作1
・針金伸ばし・・丸まっている針金だと、刀や棒などを作る時にまっすぐに作れないので、予め針金をまっすぐにします。 車の牽引のフックに針金を結わえ、もう一方は木や電柱に結わえ、車で引っ張ります。 結わえ方にはコツがあります。うまく結わえないと針金が抜けてしまいます。 針金を輪にし、針金の先端を手前に3巻くらいよじります。その後今度は逆方向に3巻くらいよじり 返します。これにより力が相反し、抜けなくなります。

・部品作り・・・予め、手、顔、足、刀など小さいものは作っておきます。
指などは円になった針金を使いますが、これはちょうどいい大きさの丸いビンや缶などに針金を巻き付ける ことで、きれいな円形の針金に加工し、それを使います。
針金の接点は糸と木工用ボンドで結びます。糸はタコ糸くらいの太さのもので、ニューロングという米袋を縫うミシン糸を使っています。初めは筒に巻かれた状態となっているので、20cm位の長さの紐状に切っておき、 それを使います。結ぶ方法には針金と針金のジョイント(結合)の結び方と、針金どうしの交差した箇所の結び方の2通りがあります。

①ジョイント(結合)の結び方:糸にボンドを塗り片方の針金に糸を通し、半分折にして2本の糸を両方の針金に しっかりと巻きつけるだけです。ジョイント部分に関して最低2箇所同じ作業が必要です。10番線などの太い針金の場合は、3~5箇所にする場合もあります。

②針金どうしの交差した箇所の結び方:糸にボンドを塗り片方の針金に糸を通し、半分折にして2本の糸を交差した針金に対して×印を描くように交互に巻き付けます。3回位交差させたら、今度は上の針金と下の針金の間を一回り糸を回して巻き付けます。
これにより交差した糸がより締まる状態になります。あとは、残った糸をどちらかの針金に巻き付けるだけです。太さの違う針金の場合はどちらかというと太い方に巻き付ける方が、よりしっかりと固定されます。

・土台作り・・・垂木を格子状に組んでいきます。1つの格子の間隔は75cm(2尺5寸)です。本体の場合は、垂木1本の長さが12尺(2間:3m60cm)なので、2本をジョイントし、24尺にします。それを横(幅)にし、縦(奥行)は1本そのまま使います。格子は全部で32個作られます。送りの場合は、横(幅)は同じ24尺にし、縦(奥行)は6尺にカットし、本体と同じように格子を作ります。格子は全部で16個作られます。その後、差金を使って各々の土台の格子が正確な正方形にになるように
斜めの(筋かい)を垂木で入れます。筋かいは各土台の四隅の格子に入れれば良いです。
基本はこんな感じですが、ねぶたの種類により1人ねぶたや2人ねぶたなどによって土台の分割方法が変わってきます。分割して作れるような構図であれば、後々の作業のしやすさから例えば人形毎に土台を分割して作る等の方が良いです。

・ジャングル・・今度は出来た土台に柱建てをします。形状がジャングルジムに似ているので、通称ジャングルジムと呼んでいます。1寸13の角材を人形の胴体が大体位置するところに立てていきます。前に12尺の長さで4本、中間に同じく12尺の長さで4本、後ろに6尺の長さで4本の合計12本建てます。各々の間隔は75cmです。
今度は横に1寸13の角材を渡します。土台から高さ75cm、150cm、225cmの所に取り付けます。次に奥行に1寸13の角材を渡します。これも75cm間隔で取り付けます。以上で75cmを1辺とする立方体が合計15個作られることになります。
最後に立てた柱がまっすぐになるように、立方体の集合体に斜め(筋かい)を胴縁等で入れます。前後、左右で合計4本入れます。

・組立合体・・まず、顔(面)を取り付けます。

以下、今後随時更新していきます。

---ここから―――
トラス
紙貼り
書割
喝筆
潤筆
ろう書き
彩色
デッサン
筆塗
ぼかし
コンプレッサー
隈取
通称かいかん
---ここまで―――
注)大型ねぶたについての作り方で、中型、小型はこの限りではありません。

■材料解説
・角材・・・主に杉材を使用
垂木(たるき):主に土台用として使用。1寸5分角
1寸13(いっすんのいちさん):主に力のもっともかかる立ちの部分に使用。
8分1寸(はちぶのいっすん):
胴縁(どうぶち):
6分角(ろくぶかく):

・針金
10番線:一番太い針金。主に輪郭線や主要となる親骨として使われます。
12番線:2番目に太い針金。一番多く使われる。
14番線:3番目に太い針金。
16番線:一番細い針金。大型ねぶたではほとんど使われません。
当然、太い針金の方がじょうぶで、紙貼りがしやすいメリットがありますが、
扱いづらいデメリットもあります。
ひと丸束で25Kgのものを購入しています。

・糸(針金の接点をつなぐ)
ニューロング

・染料
スカーレッド(赤)
レモンイエロー(黄)
リオノールブルー(青)・・・
パラチンブラック(黒)・・・兜や鎧等金具系で使用
パシッドオレンジ(橙)・・・単独ではあまり使用しない。スカーレッドと混ぜて(赤:橙=7:3)朱色にし、鳥居等に使用する。

・ポスターカラー(ニッカ)
カーマイン(赤)
クリムゾン(薄赤)
ピンク(桃)
ウルトラマリン(青)
アイリスブルー(青紫)
コンポーズブルー(水色)
クロームイエロー(黄)
クロームディープ(深黄・山吹)
ターキーグリーン
エメラルドグリーン
ビリジャン
ライトレッド
コーラル
マリーゴールド
イエローオーカー
バーミリオン(橙)
チョコレート(赤茶)
セピア(茶)
バントアンバー(濃茶)→主に隈取用

コメント

初心者 へ返信する コメントをキャンセル